有明先生と瑞穂さん
眼鏡も無事新しいものができ、二人また同じ電車に揺られて来た道を戻る。


瑞穂の心は来た時の緊張感や焦りはなくやけに穏やか。

隣の有明先生は来た時と同じように微笑んでいるのに。


(有明先生は朝からこんな気持ちだったのかな・・・?)


窓際で頬杖をついてぼーっと外を眺めている先生を見ていると視線に気づいたのか瑞穂の方を振向き、また穏やかに微笑んだ。






「本当は晩ご飯も食べて帰りたかったんだけど、ご両親が帰ってくるんだったら仕方ないね」


「はい・・・すみません。
また機会がある時にでも」


マンションの前まで着くとそう言って別れを交わす。



「今日は付き合ってくれてありがとう」

「いいえ!こちらこそ!
すごい楽しかったです」


お互いエレベーターで別れ有明先生の姿が見えなくなった時、

長いようで短い一日が終わった――


そう感じた。
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