有明先生と瑞穂さん
「・・・ん」


物音に気づいたのかゆっくりと目を開く有明。

その焦点が定まる前に勢いよくカーテンをしめた。



ドッ、ドッ、ドッ、ドッ、ドッ



心音が異常に上がっている。

頭のコブどころではない。

(心臓が!心臓が!!誰かたすけてー!!)


「言ってなかったわね、ごめんなさいね。
有明先生今日当直なんだけど疲れてるみたいだから少し休まれてるのよ」


保健医は「そっちにお願い」というように隣のベッドを指さす。


(いくらカーテンで仕切られてるとはいえ寝れるか!!)


そう思ったが動揺したままではうまい言い訳も思いつかず無言で隣のベッドに入る。


(今の一瞬で私ってバレなかったよね…?
あ、でもその前まで喋ってたし…でも有明先生今起きたっぽいし…
と、とにかく今からでもバレないように声は発さないようにしよう!)


カーテンでしきってあって元々見えないが、有明には背中を向けて横になる。


「お疲れ様ですー。保健室からです。
2年A組の瑞穂晴さんなんですけど病院まで連れて行ってほしくて、手の開いてる先生探してるんですけど・・・」



(えぇえうぉあああーーーー!!!!)


保健医は内線で職員室に電話をしていた。


(無理を言ってでも帰ってればよかった・・・)


そのとき隣でカーテンが開く音がした。
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