有明先生と瑞穂さん
「あはっ、有馬さんみたいに?」

「・・・うん」


冗談っぽくかわしてみるが布津は神妙な顔をして返事をした。



「でも違った」

「あははっ、当たり前じゃない」






「だって、瑞穂をたまに目で追ってるのは・・・


有明の方だったんだもん」




「・・・!」




少し強く吹き込んだ風がガタガタと窓を揺らす。



「えー・・・考えすぎだって。
第一、私は見られてるなんて思ったことないし・・・。

それに考えてもみてよ、先生だよ?

そんな大人が、女子高生なんかに・・・」



証拠なんてない。
憶測でしかない。
ごまかしきれる。


「女子高生が好きなのかもしんねーじゃん!」


「なっ!アンタねぇっ!
先生を変態扱いすんのやめなさいよね!」


「なんだよ!有明を庇うのかよ!」


「そっ、そうじゃないけど・・・」


はじめは自分も確かに疑ってた。

でもこうやって有明と過ごしてみてそうじゃないとわかった。

もちろん恋愛感情ではないけれど有明のことは好きだ。
それは布津も有馬も深江も、加津佐や国見にだって同じ気持ち。

そんな人たちを何も知らない人間から誤解されるのは嫌だった。
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