有明先生と瑞穂さん
「有明先生ちょっといいかね?」


生真面目で堅物な教頭が声を掛けてきた。


(また何か仕事が増えるのか・・・)


教頭が話しかけてくるなんて大方そんな用事ばかりだ。

気づかれないように小さくため息をついて「はい、何でしょう」と振返った。





「実は新学期から研修生が二人入って来ることになってるんだ。
指導は他の先生達にお願いしているんだがね。
それ以外の世話を有明先生にお願いしようと思ってるんだが受けてくれるかね?」


疑問系だが拒否権なんてない。


「いいですよ。
でもまだ新米の僕なんかで大丈夫なんですか?」


「なぁに、問題ない。
基本的なルールや流れを見てやって、助言してあげればいいんだ。
研修生達も年が近い君の方が気兼ねなく接することができるだろう。
先生方の中でも有明先生が一番若いからね。
それに君は年齢の割にしっかりしてるから、君なら任せられると思ってね」


「そうですか、ありがとうございます。
分かりました。
うまく出来るかわかりませんがやってみます」


「そうか、有難う。
新学期に彼らが入ってきたらまた一緒に説明しよう」
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