有明先生と瑞穂さん
布津は小さく背伸びをして、瑞穂の方にひじをついて体を傾けた。

近くなった布津の頭をワシャワシャと勢いよく撫でると、抵抗することもなく
「おお?なんだ?」
と布津は驚く。

瑞穂はニヤニヤしながら
「やってみたかっただけ」
と答えた。




「こんなんなら、もっと面白いのをレンタルして家で見たがマシじゃん」


笑いながら言うと、「そーだな」なんて返事を期待していたのだが無言のまま何も答えない。


「・・・?」


少しだけ疑問に思って布津の方を見ると、前を真っ直ぐ見たままの布津が眉間にシワを寄せていた。


さすがに言い過ぎたかと思い声をかけようと口を開くと、言葉を発する前に布津が言う。





「じゃあ・・・・・・俺んち来る?」




「え・・・・・・・・・?」




こんなに暗いのに、布津の顔がみるみると赤くなっていく。


こっちを見ないのは照れ隠しか。




「なっ・・・何言ってんの」



さっきまで何も思わなかった布津との距離が近すぎる気がして体を少し離す。

椅子を一個開けて座ればよかった。
どうしてこんなに広いのに、隣に座ってしまったんだろう・・・。


そう思っていると瑞穂の膝の上に置いた手を、布津は力強く握った。
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