有明先生と瑞穂さん
「・・・布津はさ、どうして他の子と付き合ったの?」


「え・・・さっきの話に戻んの?」


「いっ、いいじゃん、映画つまんないし・・・話題も話題だし」


「そういうことハッキリ言うなよ」


「だって・・・さっきの話じゃ別に好きで付き合ったわけじゃないんでしょ。
布津ってひどいやつ」


ムスっと口を尖らせると
「はいはい、すみませんね」
と言いながら尖らせた唇を強くつまんだ。

「痛い・・・」



「俺だってずっと一途に瑞穂のこと好きだったけどさ、俺だって健全な若い男子よ?

こんなに露骨なのに全然気づいてくれない人を長年思い続けてるとね、くじける時期もくるわけよ」


ふう、とため息をつきながら前を見つめる布津に何も答えることができない。


「そういう時告白されてさ・・・。
結構好みのカワイイ子だったんだけど、喋ったことなかったから断ったんだ。
そしたら『自分を知ってから考えてみてください』っつって、とりあえずお付き合いしてみたってわけ」


そういえばそういう付き合い方もあるんだ、と深江が言っていたのを思い出す。



「瑞穂が全然気づかないのは脈がないからだなーってヘコんでた時期だったのも重なって、もしかしたらこの子のこと好きになるかもしんねーって思ったんだ。

でも一週間もしないうちに駄目だって気づいちゃった。

ついつい瑞穂と比べてる自分に気づいてさ。
『ここは瑞穂と同じだな』とか
『全然瑞穂と違うな』とか。
そういうのって相手にも失礼じゃん。

だからね、
せめて結果が駄目でも、自分の気持ちに気づいてもらうまでは諦めないでいようって思ったの」



一気にそこまで話すと、残ったポップコーンをたくさん口に入れた。
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