有明先生と瑞穂さん
「それじゃあ・・・お願いします」


瑞穂は逃げ出したい気持ちでいっぱいだったがしぶしぶお願いすることにした。



車は無言の二人を乗せて走り出す。

もうこんな緊張感も無言の空気も嫌になった瑞穂はヤケクソで有明に質問をぶつけた。


「・・・なんで昨日あんなこと・・・」


彼が隣で少しだけ驚いたような気がした。


「・・・ごめんね。急でビックリしたよね」

「いえ・・・」


有明は話を続ける。


「俺、結構焦ってたんだ」

「焦る?」

「瑞穂さん、俺が君を好きだなんて昨日まで全然知らなかったでしょ」

「あ・・・」


有明はいじわるそうに少しだけ笑った。


「好きだなって自覚して、でも教師が生徒を好きになるなんてよくないのはわかってたから絶対わからないようにしなきゃとは思ってたよ」


こうも『好きだ』『好きだ』と繰り返されると瑞穂は少し居心地が悪くなった。

「でもそう考えてるとだんだん、」



「俺がどんなに好きでもこのまま君は俺の気持ちなんか気づかないまま卒業していなくなっちゃうのかなあって思ったら焦ってしまって」
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