有明先生と瑞穂さん
加津佐曰く、出迎える従業員の中に有馬がいたという。

きっと学校に見つからないように住みこみでここでバイトしているのだろう。


「玄関は避けて通れないわよ」

「有明だけじゃなくて俺の顔も知ってんだよー」

「やっかいなことになったな・・・」


4人一気にテンションが落ちる。
旅館に入らないわけにはいかない。




「・・・・・・あの、とにかく私だけがバレなければいいんですよね?」


瑞穂が口を開くと3人一斉にこちらを見た。



「・・・そうか。
俺、気づかれたくないってばっかり思ってたけど、瑞穂さんさえバレなければ俺自身はただ友達と旅行に来たってだけになるのか」

「まあ、それだけでも面倒なことに変わりはないんですけどね・・・」

「そうだよね、学校にバレちゃいけないのは有明と晴ちゃんが一緒にいることだし」




「じゃあ、瑞穂ちゃんが瑞穂ちゃんだってバレなきゃいいのね」



国見はいい顔をして笑い、突然全員のバックを漁り始めた。







~数分後。



「・・・これはないですよー。真冬じゃないんだから」

「でもここまですれば絶対バレないって」

「うんうん!わからないわからない!」


「・・・・・・・・・ッ」


有明先生は肩を震わせて笑いを堪えている。


「ちょっと先生?!」

「い、いや・・・ごめ・・・・・・っくくッ・・・」
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