有明先生と瑞穂さん
バシャバシャと先に向かう加津佐と国見を追って、ソロソロと水に足をつけた。


「うひゃー!冷たっ!」

足先は砂で熱かったためここちよかったが、膝まで入るとヒンヤリして身震いする。

振返ると有明先生はいまだ砂浜でボーッと立っていた。


「・・・先生泳がないんですか?」

「俺は・・・・・・・・・いいや」

「折角海に来たのに・・・」

「瑞穂さん行って来ていいよ」

「・・・・・・・・・もしかして先生・・・」

「え?」



「泳げないんですか・・・?」




「なっ・・・!!」




瑞穂からそう言われてショックだったらしく「そんなことないよ!」と言って眼鏡を投げ捨て、勢いよくバシャバシャと海に入ってくる。

いつもの先生らしくなく単純な挑発に乗ったものだと瑞穂は首をかしげた。




有明としては、運動があまり得意でないのは事実なのだがこれ以上瑞穂に対してカッコ悪いと思われたくなかった。



「わぁっ!
先生もっと静かに!!
跳ねた水が冷たい!」


平気な顔をしてずんずんと進む有明だが予想以上の水の冷たさに鳥肌が立っていた。
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