有明先生と瑞穂さん
旅館に戻るとまたコソコソと部屋に戻り、料理の準備の間に温泉に入る。

まさに旅行!といったこの流れが瑞穂をワクワクさせた。


「脱衣所にギャル子チャンが来たらどうやって隠れようか」

「うっ・・・。
もうなるべく考えないようにしたいんですけど・・・」


「そんなんよりこの部屋に料理の準備に来て鉢合わせ!なんて」

「それはもう最悪のパターンですね」



「誰もいないうちに有明の私物を・・・・・・」


「や、やめてくださいよー!
有馬さんはそんな人じゃありません!

・・・・・・多分」





部屋はともかく、脱衣所は従業員の影すらなく安心だった。


温泉には小さな露天もついていて質素ながらも雰囲気が出ている。


「こういうの子供の頃以来だな」

「アタシも」


海のシャワーでは落としきれなかった砂などを洗い落とす。

髪がものすごくきしんでる。

国見が貸してくれたシャンプーは美容師なだけに質がよく助かった。

オレンジのいい匂いがするシャンプーだ。

体を洗うのも手で優しく撫でるだけで焼けた肌が痛い。



「瑞穂ちゃん、露天行こう!露天!」


人がそこそこいた風呂だったが小さな露天風呂には丁度誰もいなくてくつろげそうだ。


「だはーーーーーーっ!!!」


モデルのような国見がオッサンのような声を出して風呂に入る。

それですら様になるのだから、もはや自分と同じ人間だなんて思えない。
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