有明先生と瑞穂さん
「海での疲れが一気に落ちちゃうね」

「そうですねー・・・。
すっごく気持ちイイー・・・」


このままふやけてお湯と一緒に流れてしまいそう――・・・。




冷やしたタオルを目元に乗せて頭を岩に預け伸びていると、国見が突然「ふふっ」と笑った。


「んぇ・・・どうしました?」


「いやー・・・ちょっとしみじみ思っちゃった」


「何を?」



「有明の好きになった子がこんな子でよかったなあって」


「!」


だらけていた体がシャキンと跳ねる。


うまい言葉も出てこずにひたすら照れるだけだったが、『よかった』わけがない。


他人から見てもおかしいと思うくらい差があるのに。




「あー、勘違いしないでね。
有明と付き合えって意味じゃないから」


そう言って国見は言葉を続けた。



「他人に興味のない男がね・・・
興味を持つなんてどんな子だろうって思ったの。

今まで付き合った彼女も、中には本気で好きになった子もいたみたいだけどさあー


瑞穂ちゃんとはタイプが違うっていうか


どこか『綺麗な女性』ばかりだったんだ。


綺麗って言うのは顔とかじゃなくって、ソツがない雰囲気がまさに『女性らしい女性』っていうのかなー・・・


どれもこれも有明にソックリな仮面をかぶった女ばかり。

見るたびに吐き気がした!」
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