有明先生と瑞穂さん
「おぅ?!ノリ悪いぞ有明ー」

「・・・いや・・・、俺のそんな話、ノリ方わかんないし・・・」

「あはは、イジメすぎちゃいましたねー」

無邪気に笑う瑞穂を可愛く思う反面、今は少し怖い。


「いいのよ瑞穂チャン・・・
ああ・・・だって、有明をいたぶれるだなんて・・・快感・・・!」

「いつも俺は殴られてばっかだからな」

二人はブルリと身を震わせた。




「はぁーっ、お腹も膨れたことだし俺ちょっと仕事するな」


そう言うと有明はバッグの中から教科書やプリント類を取り出した。


「「はぁーーーっ?!」」



加津佐と国見が不満げに叫ぶ。




「仕方ないだろ。終わらなかったんだから。
これでも頑張ったんだよ。
すぐ終わらせるからさ」

「こんなトコまで仕事持ち込むなんて信じられなーい!」

「そーだぞ有明!空気読めっ」

「ハイハイ、ごめんごめん」


窓際の小さなテーブルに書類を並べてサラサラと仕事を始めた。

その姿は浴衣を着ているとはいえまるでいつもの有明先生だ。


「もーッ、信じらんない!
瑞穂ちゃんあんな真面目君ほっといてこっちで盛り上がろっ!」



「・・・・・」



「・・・瑞穂ちゃん?」




ふいに瑞穂は立ち上がり自分のバッグをあさる。
そして底から取り出したのは同じくプリント数枚と筆記用具だった。




「えぇ?!ちょっと瑞穂ちゃんまで・・・」
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