有明先生と瑞穂さん
「古文の宿題だけど、答案が間違ってるみたい。
あとこっちの方は問題がちょっと間違ってるね」

「・・・・あぁ~」



自分と有明先生とのテンションの差に戸惑う。

どうするべきかとプリントを握り締めうつむいた。



目の先では先生の手がサラサラと何かの試験らしきプリントの添削をしている。

きっと補習でやった小テストか何かだろう。




顔を上げるのも何だか恥ずかしくてぼーっとそれを見ていると、ピタリとその手が止まった。



「・・・?」


不思議に思っていると、ペンを置いた手がそのまま瑞穂の顔に近づく。


はっとしたときはもう遅く、有明先生の手がくいっと瑞穂の顎を持ち上げた。


「へっ?!」


顎を持ち上げられるだなんていつの時代の恋愛モノの演出だろう。


そう思うのに、一瞬ドキッとしてしまう。

強制的に有明先生と目を合わせられることになり、瑞穂は視線の逃げ場を失った。


「なっ、なんですか・・・?」

「ははっ、緊張してる?」



言い訳やごまかしの言葉が頭でグルグルとまわるがどれも苦しく、言葉がつまる。




瑞穂は観念して小さく「ハイ」と返事をした。
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