有明先生と瑞穂さん
「何となく思っただけです」


有明先生が気持ちよさそうに目を閉じるから、そのままでもいいような気がしてそっとその髪を撫で続けた。



「何が・・・
あったというわけではないんだけど」



ぽつりと話すその声が少しだけ弱々しい。



「ここのところしばらく忙しくて・・・それで気が滅入ってるのかも」


はーー・・・



先生は長くて深いため息をついた。




「でもこうしていると癒されてる気がする。
瑞穂さんは不思議だね」

「!」


自分にそんな能力なんてもちろん無い。
ただこうやってじっとしてるだけなのに



(けど何だか先生に頼られるのって嬉しいかも・・・)



「わ!私でよければ!
ドンドン甘えてください!」


有頂天になった瑞穂は『任せろ!』と自分の胸を叩いた。

その姿に有明は噴出す。


「そうだね、今だけ甘えちゃおう」



そう言って笑うと瑞穂を強く引き寄せ、顔を近づけた。


(えぇっ?!そういう意味じゃ・・・・・・)


はっとした時にはもう遅い。

有明先生の手が瑞穂の首にまわり、身を引き寄せる。


「えっ?!えっ?!えっ?!」
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