有明先生と瑞穂さん
「上から何か羽織ってこないと風邪引くよ」

「大丈夫ですよ。先生もそのままじゃないですか」

「俺は酔いを冷ましに来たからいいの」


また、ふわりと笑う。


気づいてしまってからのこの笑顔は今まで以上に心臓を揺らした。



「・・・国見さんが心配してました・・・。
先生今日疲れてるみたいだし、早く寝た方がいいですよ」

「もう少ししたら戻るよ」


加津佐も国見もいない二人だけの空間はいつも静かな気がする。


近くの海の静かな波の音すら聞こえてくる気がするのだ。



「ずっと忙しくて、ふいに
『なんで俺教師になったんだっけ?』
って思ってたんだ」


独り言のようにポツリポツリと話し出す。

瑞穂はそれを黙って聞いた。


「元々勉強自体は好きだったんだ。
知識を身につけるってことが好きで、何かを知るたびに成長してるっていうのがわかりやすくて。
だから自然にこういう道に進んだとばっかり思ってたんだ。

でもよく思い出してみたらそうじゃなかったよ」
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