有明先生と瑞穂さん
将来の夢なんてない。

やりたいことなんてない。


もとより『今』でいっぱいいっぱい。


私は将来何をするんだろう。
何になるんだろう。


ずっとこのまま悩み続けて大人になってしまうのだろうか―――・・・?




「有明先生も加津佐さん達もすごいな・・・」


ちいさく呟いたこの言葉も同じように、この暗闇に飲まれてしまった気がした。



「何言ってるの。
瑞穂さんのおかげだよ」

「私が?」

「うん、すごく嬉しかった」

「私何か言いましたっけ?」


有明先生は無言のまま瑞穂の唇を指でそっとなぞった。


「えっ!」


酔った有明先生の指先は熱く、唇からもハッキリと熱が伝わる。



このままでは眠気が増すどころか吹き飛んでしまう。


「もっ、もうそろそろ部屋に戻りましょう先生!
そうしましょう!」

勢いよく立ち上がると少し残念そうな顔をしたあとに「そうだね」と言って有明先生もゆっくり立ち上がった。
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