有明先生と瑞穂さん
結局ゆうべ緊張からなかなか寝付けなかった。

有明先生は酔いもあってか、いろいろ言っていたにも関わらず布団に入るとすぐに寝息が聞こえた。

一人だけ遅くに寝付いた瑞穂は結局朝、誰よりも遅くに目が覚めたのだった。


(寝顔見られるとか最悪~~~っ・・・)


頭から布団をかぶり、恥ずかしさのあまり「ぐわああああ」と悶えていると

「ほらほら、早く準備しなさいよ」

と3人は何事もなかったように準備を始めた。


(なんてマイペースな人達なんだ・・・)





テキパキと準備を整えて旅館を後にする。


今日は有馬には合わなかった。

昨日あんなに遅くに出かけていたことが少し気にはなったのだが――・・・。



「はあ・・・この旅館ともお別れは寂しいですね」

「たった一泊しただけじゃん」

大げさだと加津佐が茶化す。



「まだ今日一日楽しむのよ!
そんな辛気臭いこと言わないのー!」

国見なりに励ましてくれる。


「そうですけど・・・」


楽しい時間が過ぎるのは寂しい。


たった一瞬の時だからこそ、その時間は輝いているのだ。



「また来よう。みんなで」


顔を上げると、有明先生が優しく笑った。




小さくて少し古びた旅館だったけど

少しハプニングもあったけど


すごく楽しかった。



またいつか皆で――!



笑顔で返事をすると皆が同じように笑った。
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