有明先生と瑞穂さん
(どういうことだ・・・?)


振られたわけではないようだ。

だったらどうして瑞穂は泣いているんだろう・・・?


瑞穂の肩に置いた布津の手から力が抜けて、だらりと落ちる。

その瞬間、瑞穂は立ち上がって足早に部屋を飛び出した。


「おい、瑞穂!!!」


布津が立ち上がる前に扉が勢いよく閉められる。


瑞穂は涙を袖でぬぐって玄関へ早足で向かった。



「あら、晴ちゃんもう帰っちゃうの?」

「!!」

リビングから布津の母親が顔を出す。

瑞穂は慌てて笑顔を作った。


「おっ、親から電話があって・・・!
慌しくてすみません!」

「・・・いいのよー。
こっちこそ何のお構いもできなくてごめんね。
下駄、応急処置だけど紐だけ繋いでおいたから。
きっともう履けないだろうけど、帰る分には大丈夫だと思うわ」

「あ、ありがとうございます!
充分です・・・。
何から何まですみません」

「ううん。また遊びに来てね」

「・・・は、はい!」
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