有明先生と瑞穂さん
始業式後の担任の説明や宿題の回収も終わり、掃除の時間となった。

各々の当番の教室や場所を掃除する。


瑞穂は教室のゴミ箱を持ってゴミ捨て場に向かっていた。

夏休み中、補習で教室を利用されていたのだが一度も片づけられることのなかったゴミ箱は一人で持つには少し重い。

瑞穂の教室からゴミ捨て場へは中庭を通過する。

この時瑞穂も同じように中庭を横切っていた。


(えっ、アレって・・・)


中庭の隅にひとつ、小さな煙が上がっている――


(えっ?か、火事?!)


そう思った時には無意識に体が動き、ゴミ箱を持ったままヨタヨタと煙のある方向へ歩いていた。




「あぁ?」

「わッ!!!!」


瑞穂は思わず大きな声を出して驚いてしまった。


そこにいたのは口之津―――

彼がひとり木々の隅で煙草を吸っていたのだ。
< 688 / 1,252 >

この作品をシェア

pagetop