有明先生と瑞穂さん
***

午後からは部活の生徒以外は帰りはじめる時間帯、職員室は先生や宿題提出の生徒などで賑わっていた。


他で用を済ませ戻ってきた有明が職員室に入ってすぐに目に映ったのは、オロオロと何かを探す愛野先生だった。


「何かお探しですか?」

「あら、有明先生。
口之津先生をお見掛けしませんでした?」

「いえ・・・見てませんけど・・・」

「やだわ、校内で迷ってるのかしら。
探しに行ったら入れ違いになっちゃうかしらね・・・」


初日からひとりでウロつくとは、見た目通り図太い奴だ――・・・


有明がそう思った時、少々乱暴に職員室のドアが開けられた。



「口之津先生!
今探してましたのよ」

「そうでしたか。すみません。
通りがかりに生徒の掃除を手伝ってまして」

「まあそうでしたの~。
もう生徒と打ち解けるなんて、教師に向いてるのかもしれないわね」


もしかしたらサボっていたのかもしれないのに、愛野先生の人のよさにはいつもながら関心する。



「ええと、これで揃ったわね。
あら?小浜先生はどこ?」

「はい、ここです」


気付けば小浜が有明の隣に立っていた。

目が合うとニコリと笑う。



やれやれ、と自分の席に戻ろうとした時愛野先生が自分を引きとめた。


「有明先生お忙しいかしら?
よろしかったらお手伝いしてくださらない?」

「はい、大丈夫ですよ」

「今から今後の大まかな流れと、校内を案内します。
私っておっちょこちょいだから、忘れてることとかあったら有明先生フォローしてくださいね」
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