有明先生と瑞穂さん
人のいない壁際を見つけて寄りかかりながらその人だかりを見る。

元々スポーツなんて興味のない有明は、自分が経験することのなかった高校時代の楽しさを見たような気がした。

体育館の半分隣ではまだ練習中の女子バレー部がチラチラと有明を見ては喜んでいる。
しかしそれに気付くことはない。



「有明先生!」


声のする方を振向くと、水飲み場から戻ったばかりの布津が駆け寄ってきた。


・・・・・・正直あまり顔を見たくなかったのだが。



「部活、大変そうだね」


当たり障りのない言葉をかける。
しかし布津から返事はなかった。


それでも布津は有明の隣の壁に寄りかかる。


――何か、言いたいことがあるのだとすぐに理解した。
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