有明先生と瑞穂さん
そもそものタイプが違うから仕方のないことなのだが、彼は自分に持たないものをたくさん持っている。

それらは全て輝いて見えて眩しくて、酷く自分を醜く見せた。


それは単に、隣の芝は・・・ということなのかもしれない。

しかし、こんな劣等感を感じる自分でさえ醜いのだ。



「はは・・・」


笑うと布津は馬鹿にされたと勘違いしたらしく有明を睨みつけた。


「ああごめん、違うんだ。
ただ君が羨ましくて・・・」

「俺が?!」


「そう。
俺も・・・彼女と連絡が取れないんだ。
君に聞きたかったんだけど変な見栄が邪魔して聞けなくて。
それなのに君はちっとも迷わずに俺にそういうことを聞ける。

そういうの、俺にはないから羨ましい」


良くも悪くも裏表が全くない。

誰にでも見せるそれが全て。


自分には絶対ありえないことだ。
< 707 / 1,252 >

この作品をシェア

pagetop