有明先生と瑞穂さん
「瑞穂ちゃんが二人に対してどういう接し方してきたのかわかんないけど・・・
あんまり自分を責めるのはよくないよ。

現に、瑞穂ちゃんは誰が好きとかそういうの、まだわかんないって言ってたじゃない」

国見の言葉に瑞穂は首を振った。


「違うんです・・・。
迷ってるとかそういうのじゃなくて。

私ただ、誰にも嫌われたくなかったんです。
誰からも離れたくなかっただけ。

有明先生と付き合ったら布津と、友達を無くしちゃう。
布津と付き合ったら有明先生と国見さん達をなくしちゃう。

二人共断ったら、全部を無くすような気がして・・・。


二人の気持ちなんて全然考えてなくて


ずっとぬるま湯につかっていたいだけだったんです」


ずっとつかり続けたぬるま湯は、いつか冷えて風邪を引いてしまうのに――・・・・・・。


「こんなこと話してる今も・・・
国見さんに幻滅されちゃうんじゃないかって思って本当は怖くて・・・。

だから友達にも言えなくて・・・」


スプーンで少しだけすくったままの生クリームがぽとりとテーブルに落ちた。
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