有明先生と瑞穂さん
***


「うお、すっげー顔」

「なによ~。誰のせいだと思ってんのよ~」

「え?俺?!」

「違う、晴ちゃん」

「じゃあ俺関係ないじゃん!」

「連帯責任!」


布津の部活をむっつりと不機嫌顔で一人見学に来ていた深江は休憩中に入った隙を狙って布津に八つ当たりをする。


「意味わかんねー・・・」

「意味わかんないのは結だし!
あんた達どうなってんのよー!」

「俺が一番知りてーよ!」

「いいや結が一番知りたいね!」

「わっけわかんねー・・・」



布津はスポーツドリンクをガブガブと喉に流し込んだ。


「で、深江はなんでキレてんの?
瑞穂を俺の部活見学に誘ったら断られたとか?」

「違う。
晴ちゃんに遊ぼうって誘われたけど断った」

「ますます意味わかんねー」

「結のが意味わかんない!」

(無限ループだ・・・)


滅多に不機嫌になることのない深江の扱いがわからず布津は戸惑うしかなかった。


(瑞穂なら不機嫌になった時の扱い方わかるんだけどなー・・・)


ああしまった。
瑞穂、瑞穂、また瑞穂。

俺は瑞穂しか女の知識ないんじゃないか?


なんか情けないな、それも。




「そうだ深江、ちょっと聞きたいんだけどさ」

「何?」

「俺ってイケメン?」

「・・・誰にそんなこと吹き込まれたの?」

「・・・・・・ごめん、忘れてクダサイ」


おかしいなあ。瑞穂はそう言ったのになあ。
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