有明先生と瑞穂さん
「そうか。有明がキャーキャー言われんのは若いからだ。
お前もそう思うよな?!」

「・・・はい」

「その点から行くと俺の方が若い。
一個しか変わらないけどな」

「・・・はあ」

「晴は俺と有明とどっちが好みだ?」

「・・・口之津先生です」


もし「有明先生」なんて言
ったらどんな目に合うか。

言わせたようなものなのに口之津は満足そうに笑って瑞穂の肩を組んだ。


「アッハッハッハ!
そうだな!やっぱ晴はわかってるべ!?」

「うわっ・・・やめてくだ・・・うぐっ・・・苦し・・・」


近い近い近い!
そしてやっぱその口調なんですね、怖い!



「よし、お前には女探しを手伝ってもらってるからな。
俺もお前の恋を応援してやろう。
お前は好きな奴とかいるのか?」

「や、結構です」


さすがに瑞穂もキッパリと断った。



口之津を何とか機嫌を損ねないように引き剥がそうとしていると自分を呼ぶ声がした。


「晴子!」

「有馬さん!」

「ああ・・・?」


ピリリッ・・・


一瞬空気が張り詰めるのがわかった。



「何だこの女ァ・・・」

「晴子に何してんの?」


(うぉおお・・・水と油が鉢合わせちゃった・・・)


言葉を交わさずとも、初対面の二人が威嚇し合うオーラが瑞穂には見えた。
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