有明先生と瑞穂さん
いくつか採点していると見覚えのある名前。

(なんだあいつらのクラスのか)


瑞穂 晴
布津 大介
深江 結

そして苗字しか聞いてないが『有馬 祥子』――

きっとアイツだ。

イライライラッ


(ケッ!やっぱりコイツ間違ってやがる。
やっぱ勉強できねーんじゃねーか、ハハハ!)

間違ったところを嫌味ったらしく指摘してやり、正しい答えの求め方を細かく書いてやると最後に『バーカ』と付け加え、端に『口之津』とわざわざ名前まで書いてやった。


(見て怒り震えるがいい!ケケケッ)


ひとり満足げに踏んぞりがえる。
再度瑞穂の答案に目をやると瑞穂もいくつか間違っている。

(こいつ惜しいとこまではいってるんだよな・・・仕方ねーなー)

口之津はちょっとだけ注釈を入れてやった。



そうしていると隣から小さな声で「うーん」とか「あれ?」と聞こえて目をやると、小浜が答案と回答を交互に見ながら悩んでいた。

「?」

声を掛けようとした時、何か思いついたように立ち上がり有明の方に走っていく。


「あの・・・有明先生、ここがわからないんですけど・・・」


(ケッ、国語教師がそんなんわかるわけねーだろ。
下心ミエミエだっつの)


それでも有明はきちんと小浜の話を聞いていた。
< 744 / 1,252 >

この作品をシェア

pagetop