有明先生と瑞穂さん
ほとんどの図書室や図書館がそうだと思うが、この高校も一番貸し出しの多い人気作や新しい本は入口近くの本棚、古い本やあまり借りられない本は奥へ並べられている。

先程挙げた新装版も新しい本の棚に並べられていた。


「あれ、」

(やっぱり・・・)

「ないね。借りられちゃったかな」


予想はしていたが瑞穂は肩を落とした。


(・・・と、なると)


「古くてもいいよ。あるかな?」

「そ、それじゃあ・・・」


二人は図書室の奥の方へ歩き出す。

狭い図書室とは言えカウンターから死角になるような場所には向かいたくなかった。


愛野先生と部員は奥の部屋。


何も言わずに帰るなんてこと――・・・







「背中がすごく緊張してる」

(ですよね~)


有明先生が「ははっ」と小さく笑うのをひきつった笑顔で返した。
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