有明先生と瑞穂さん
その声に驚きながら愛野先生が奥の部屋から出てくる。

奥の本棚に囲まれた二人にはその様子は見えなかった。



「あら、口之津先生どうされましたの?
図書室ではお静かにね。
あと扉はそっと開けてくださいね」

「スンマセン!
何か3年の生徒が宿題渡してくれって言ってたんで持ってきました!
何か今日中じゃないと駄目だからっつってたから急いで持ってきたんですけど」

「ふふふ、夏休みの宿題ね。
今日までに提出しないと点数あげないって言ってたからきっと慌てたのね」


穏やかな口調とは反対に口之津の声は相変わらず大きかった。


口之津は愛野先生の話を聞いているのかいないのか、宿題を手渡すと初めて来た図書室をウロウロしだした。


「へー、こんなんなってるんスね。
結構狭いな・・・

・・・・・・あ」


「・・・・・・」
「・・・・・・」


有明と瑞穂はすぐに見つかり気まずい空気が流れる。


「有明先生・・・と、晴じゃねーか。
何やってんスかこんなところで」


(・・・『晴』?)


有明は口之津の瑞穂に対する呼び方に気がつく。


「有明先生のお手伝いを・・・」

「・・・ふ~ん?

あっ!

晴、テメーもしかして・・・!」

「えっ、な、何ですか?!」
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