有明先生と瑞穂さん
「はっやぁ~!」

二人は怖い顔をしたままグングン走り、ほぼ同着でゴールした。



「ふふん、ウチの方が0.1秒早かった」

「何?!ストップウォッチの差だろうが!!
おいテメーきちんと測ったのか?!」

「ひぃっ!」

「人のせいにしてんじゃないわよ!」


口之津が他の生徒にまで掴みかかるのでさすがに体育教師も間に入って静止する。
その様子を次の走者として深江と瑞穂は呆れて見ていた。


「なんかすごいね」

「うん、有馬さんすっごいオッパイ揺れてた。羨ましい」

「そこ?!」


「ハイ次!どんどん行くぞ!」

口之津のせいで時間が押しているためか、体育教師も少しイラついている。


「用意!」

パン!


深江と瑞穂は走り出す。

深江は自分で言っていたように確かに遅く、瑞穂の斜め後ろをバタバタと走った。

と、前方で何やらヤジが聞こえる。


「ちょっと晴子ー!!アンタ力抜いてんじゃないわよ!!」

「てめーきちんと走れコラ!真剣にやれ!」

「・・・・・・ヒッ!」


口之津と有馬だ。


走り終わると喧嘩していたはずの二人が一緒に瑞穂の方に向かって来てさらにまくしたてた。


「てめー!100メートル走舐めてんじゃねーぞ!!」

バシッ!

「痛っ!舐めてませんって」

「本気で走りなさいよ!アンタはいつもそうやって適当に!」

(有馬さんやる気ないって言ってたじゃん・・・)


口之津に叩かれた頭をさすりながら二人の狂犬に吼えられびくびくとその場に縮こまった。
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