有明先生と瑞穂さん
「晴ちゃ~ん、次出る種目はどれ?」

「私はまだまだだよ。結ちゃんは?」

「私もまだ~。じゃあ次の種目まで一緒にいようよ!」


深江と瑞穂はテントの影に腰を下ろしてグラウンドを見た。

グラウンドの真ん中では障害物競走が行われ、有馬と布津が参加していた。


「有馬さん、やる気ないね・・・」

「今日ずっと不機嫌だしね。
布津君はさっきからずっと出てるけど、むしろ出ない種目あるのかなぁ」


二人の対照的な様子に笑みがこぼれる。

ずっと種目に出ているといえば口之津もだ。
彼はもしかしたら例の子に会えるかもしれないと更にやる気が出たようだ。



見学する瑞穂達の後ろで他校の男子であろう一般客が何か楽しそうに騒いでいるのが耳に入った。


「あの人ってここの教師かな?!
いいな~、めっちゃレベル高くね?!」

「うちババアしかいねーよー。浜高羨ましいー!」


彼らの見る先に目をやるとゴールテープを握り楽しそうに応援する小浜。


「小浜先生、やっぱり人気だね」

「男受けよさそうだもんね。結はああいうタイプきらーい」

(えええ・・・、結構結ちゃんと系統似てると思うんだけどな・・・)



瑞穂達は知らないが、歓迎会の件以来小浜は至っていつも通りだった。

有明に対しては少し距離を置くようになったようだが避けたりあの晩の話をすることもなく、口之津とは違って真面目で優秀な研修生だ。
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