有明先生と瑞穂さん
お弁当を食べながらゆっくりとした時間を過ごしていると有明先生が荷物持って足早に通りすぎた。


「あっ！有明先生ぇーー！」


すかさず有馬が声をかけ、深江も一緒になって嬉しそうに手を振った。

瑞穂は少しだけ気まずい。



「ここでお昼ごはんですか？」


強張る瑞穂とは対照的にまるで何事もなかったように笑いかける有明先生はいつも通りに見える。


「有明先生はご飯もう食べたの？！」

「僕はまだ仕事が残ってるのでそれが終わってからです」

「え～、先生倒れちゃうよぉ～？！ちょっと顔色悪いしー！」


深江が言うように確かにあまり顔色がよくないような気もする。

瑞穂は加津佐が言った言葉が頭をよぎった。


「じゃあじゃあっ！
ウチらのご飯ちょっと分けてあげるよー！！
先生、こっち来て来て！」


有馬が有明先生の手をぐいぐい引っ張って連れてくるのでひとり木陰に座って気配を消していた瑞穂（もちろん有明にはバレバレなのだが）とも目が合い「あ、ドモ」と微妙な挨拶をするハメになってしまった。


有明先生は相変わらずいつもと変わらない表情で３人の弁当を見渡し「おいしそうですね」と笑いかけた。
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