有明先生と瑞穂さん
「辞書は?」

「あ、まだ取ってきてないんです・・・」

「ああ、本棚にあるの?」

「今取ってきますね」

椅子を立ち上がり歩き出すとなぜか彼も黙って後をついてくる。

(いや、そこにいればいいのに・・・)

有明先生はつかみどころがないので少し苦手だ。



「これです」

辞書の棚の一番下の方にあった有明先生の辞書を身を屈め引き抜く。

いや、引き抜こうとしたのだが無理やりつめてあったのか結構固くて取り出せない。

「う~~~!あれ・・・ちょっとまってくださいね」

瑞穂は気づいてなかったが、有明はそんな瑞穂を黙って後ろから見下ろしていた。
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