有明先生と瑞穂さん
「ああ、ちょっとバタついてたので参加できませんでした」

「そんなこと言って俺との勝負から逃げましたね?!」

「そんなことはないですよ・・・じゃあリレーの後にある綱引きには出ますから」

「そんッなの俺と有明先生の勝負になんねーじゃねーッスかー!!!」


二人のやり取りに他の教師も生徒もクスクス笑った。


口之津は研修生としても問題児なのではないかと心配していたが、どうやら他の教師からは『手のかかる子供』として生ぬるい目で見守られているようだ。



「まあまあ、僕もこのリレーはちゃんと出ますから」

「俺と有明先生は競わねーじゃねーッスかーーー!!!」


口之津が叫ぶたびに有明はまわりの目を気にしている。
きっと加津佐や国見に知られるのが一番嫌なのだろう。




そうこうしているうちに他の種目も終わり、リレーの時間がやってきた。

同じく選手の布津は応援合戦を終えてそのまま来たため長い学ランを着たままだ。


(あのカッコで走る気なのかな)



マイクでは音楽が流れ

「いよいよお待ちかね、クラス対抗リレー、選手の入場です!」

という声と共にワッと歓声と拍手が沸きあがる。
今までは見ているだけだった瑞穂はその歓声にまた一気に体がガチガチに固まった。
< 803 / 1,252 >

この作品をシェア

pagetop