有明先生と瑞穂さん
前方を見ればすでにバトンを渡す教師と、生徒の中に瑞穂がいて、バトンを受け取る構えはできていた。


瑞穂自身は気にしていないかもしれない――

だけど目の前で見ているのに、
待っているのに、

布津に追い抜かれることだけはしたくない。



有明は全身に力を入れた。



布津は目の前の有明にもう一歩で追いつく――というところでさらに有明が加速したことに気付く。


(・・・こんにゃろ!)



布津の中にも燃え上がる意地のようなものが、このまま有明に逃げ切らせることはさせたくなかった。


(毎日運動してる奴に勝てると思うなよ~~!)


布津も夢中で体を倒すと二人は横に並んだ。



(―――!っ、抜かれる・・・!)



目の前の瑞穂と教師が手を伸ばす。


そこはすでに、バトンを渡すまで残り数歩という距離だ。
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