有明先生と瑞穂さん
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「有明!」
「・・・・・・帰れ」
人気の少ない用具倉庫の入り口で荷物を片付ける有明は国見に声を掛けられた。
「ひどーい!折角ここまで来たのにー」
「一般人がここまで来るなよ。何しに来たんだ」
「いやあ、ちょっと聞きたいことがあって」
「聞きたいこと?」
国見はにっこりと笑った。
「覚えてる?高校の時の後輩の子なんだけど・・・
あんたのこと好きだった子。
その子見かけたんだけど、ここの教師なの?」
すぐに小浜のことだと理解する。
「いや、研修生だよ。
俺全然覚えてなくて、この間本人から後輩だって教えてもらった」
「ふーん、そう」
国見は意味ありげに笑う。