有明先生と瑞穂さん
「そんな美人が、あんたの知り合いなわけないじゃない」


待ち合わせ場所に向かいながら有馬はそう皮肉を言い嘲笑する。


いつもならここまで人を馬鹿にすることはないのにヤケに機嫌が悪いものだと思ったが深くは考えなかった。

それがいけなかった――。


瑞穂と約束した手前、口之津は眉間にシワを寄せながらも反論することはない。


瑞穂はなるべくこの悪い雰囲気を打開しようと口之津に聞いた。


「そ、そういえば!
私達まだ先生とその子がどういう仲なのか全然聞いたことなかったなぁ~!
教えてくれませんか?!」

「あっ、結も気になってたんだよね~。知りた~い」

「・・・別に大したことがあったわけじゃねーぞ」


そう言いながらも今からその子に会えるからかすぐに機嫌がよくなり、ぽつりぽつりと話し出した。



「・・・俺がこの学校に来るって決まってすぐなんだ。俺がソイツに会ったのは。

俺はいつものようにゆん吉やキヨシと朝方まで遊びまくってた。

俺んち駅の近くなんだけどさ、アイツらと別れたあとにたまたまコンビニに立ち寄ったんだ。

・・・深夜3時くらいだったかな。

そこでそいつと会ったんだ」


千々石さんが夏休みとはいえそんな時間にコンビニに行くだろうか・・・?


大人しい彼女の性格を見て瑞穂は疑問に思った。


しかも口之津が美人というのだから髪も顔を隠してはいないし、眼鏡もかけてはいなかったのだろう。


(え・・・?もしかして千々石さんってああ見えて非行少女?)
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