有明先生と瑞穂さん
口之津の頬に衝撃が走る。

誰もが目を見開いて固まった。



「有馬さんのこと何も知らないのにそういうこと言わないで!!」



息を切らして叫んだのは瑞穂。


口之津は頭が追いつかず、遅れてきた頬の痛みを手で覆う。


瑞穂は興奮しているのか、ただひたすら肩で苦しそうに息をした。



「瑞穂さん・・・」


有明の声にはっとして我に返る。


殴った右手がジンジンと痛い。



(うそ、)


(私・・・・・・何を・・・)



ようやく自分のしたことを理解して瑞穂は血の気が引いた。



口之津を見ると怒っているのかショックを受けているのか、複雑な表情をして瑞穂を睨みつけている。


少なくとも瑞穂はそう感じた――。



「くちの・・・」

「てめえも・・・・」


瑞穂が口を開きかけた時、口之津が絞るように声を出した。
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