有明先生と瑞穂さん
「いきなり何すんだ大介・・・」

「いやホラ瑞穂、具合悪いし」

「はあ?」

「ただのヤキモチだよ、ヤキモチ」


後方で深江がプププッと笑う。


「過呼吸よ。瑞穂さん、過呼吸おこすの初めてだったのかな。
極度の緊張状態や興奮すると引き起こしてしまうのだけれど・・・」


そうか、だから息が苦しかったのか――。

今まで体調は万全だったのになぜ突然こうなったのか、瑞穂はようやく理解した。



「だから、俺のせいだ。スマン」


口之津はもう一度頭を下げて謝った。



「お前との約束守れなかったし、反省も生かせなかった。
生かせない反省はしていないのと同じだ。

それに・・・

カッとなったとはいえ、俺は憶測でお前の友達に最低なことを言った・・・」


「口之津先生・・・・・・」




そういえばここには有馬さんの姿がない。
もう帰ってしまったのだろうかとあたりを見回すと、有明先生と目が合った。


「有馬さんはさっきまで廊下にいたんですけど・・・自分がここにいてはまた騒動になるからと、先に帰られました」

「そうですか・・・」


(有明先生がいるのに先に帰っちゃうなんて・・・)

脳裏に有馬の申し訳なさそうな表情が浮かぶ。
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