有明先生と瑞穂さん
(どうしよう、何て言えば・・・!)


頭をめぐらせるが言葉が出ない。



「俺が・・・有馬さんを・・・」

「ウチが先に喧嘩売ったんです」


声を出したのは有馬だ。



「・・・詳しく話しなさい」


校長は口之津をかばう瑞穂や有明とは違い、日頃から問題視している有馬の言葉に耳を傾ける。



「ウチ、いつもこの先生に化粧とか髪を注意されてたんで昨日はとうとうブチ切れちゃって喧嘩ふっかけたんです」

「おい・・・・・・」

「本当かね、口之津先生」


否定しかけた口之津を遮り有馬はわざと悪い態度で腕を組み、言葉を続ける。


「だってウチのことエンコーしてんじゃないかとか憶測で勝手なこと言うんですよ?
腹立っちゃって。
一発シバいてやろうと思ったんです」


「・・・口之津先生がそうおっしゃったのは事実です」


有明も有馬の言葉に加勢した。


「でもそのことについてはさっき謝ってもらったんでウチは許します。
瑞穂達も、そのことでかばってくれたから。
騒ぎを起こしたことは謝ります。
ゴメンナサイ!」


つらつらと早口で説明した後、有馬はガバッと頭を下げて勢いよく謝罪した。

それにつられて瑞穂達も後から頭を下げる。


その様子を見て校長は、フゥとため息をついて椅子の背にもたれかかった。
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