有明先生と瑞穂さん
ひとまず慌てて日報に向かうと奥から眠たそうに目を擦りながら有明が現れた。


「・・・もうこんな時間ですか」


瑞穂の緊張とはよそにだるそうな有明の顔に少しだけ拍子抜けする。



「先生、寝てました・・・?」

「あ、わかる?窓際はポカポカしてたものだから」


少し懐かしい口調にふっと笑う。


「あと3分で日報書き上げます。あとは戸締りして終わりですから」

「そう」


有明は瑞穂の近くに腰掛け、自分の仕事の書類を整理する。


この間とは違い、何も言わない――
まるで何事もなかったように。



瑞穂はそれにほっとしてしまったのか自分から話し掛けてしまった。



「あの、」

「ん?」


「昨日は、ありがとうございました。
・・・口之津先生と有馬さんのこと・・・・・・」


有明は少し驚いたようだったが、目線は手元を見たままだ。



「俺は何もしてないよ」

「いいえ、有明先生がかばってくれなかったら口之津先生は・・・」

「ははっ、やけに口之津先生は気に入られてるなあ」









「少し妬けるよ」
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