有明先生と瑞穂さん
その言葉に心臓が高鳴る。

顔が赤くなるのがわかる。


瑞穂は慌てて日報に顔を戻した。



まるで字はミミズが這ったようになってしまったが息もつかない早さで日報を書き上げた。


「お、終わりましたっ。あとは戸締りだけです!」


焦っているのはバレバレだ。

でもそれを隠したところで有明先生はごまかせない・・・。



待たせた布津、目の前の先生


二つのプレッシャーで瑞穂の気持ちがぐるぐるまわる。


「・・・・・・」


瑞穂が立ち上がると何か言いたそうに見上げる視線。

それに気付かないふりをして、窓の鍵を確認しに行く。



(お願い、今だけは・・・今だけはダメ)


有明先生にも話さなければいけない。

だけど今では駄目なのだ。



(あと少し・・・あと少しでいいから・・・・・・)


――どうか何も聞かないで




鍵はあと3つ。

あと2つ。

1つ。


これで最後・・・



「!!」
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