有明先生と瑞穂さん
逃げるように鍵を閉める瑞穂の前に有明が立ちふさがった。




「やっぱり俺のこと怖い?」



ドクドクと心臓が鳴り、手が震える。


今の自分の態度が先生を傷つけている――それが怖い。



でも・・・・・・




「布津君が待ってるんでしょう?」


「・・・・・・!」



倒れてしまいそうな程に心臓が音を立てた。



「教室の前通ったら、彼が一人で待ってたから・・・。
顔見たらなんとなくわかったよ」


『なぜ』と瑞穂が聞く前に自分から答える。



「こんな日に部のことを任されたり・・・何かのめぐり合わせみたいだね」


笑う笑顔が寂しい。



ぐらぐらとゆがむ視界。
苦しい呼吸。


もう誤魔化せない。





「・・・・・・先生」




覚悟したことを感じ取った有明も、作った笑顔をやめて真剣な目で瑞穂を見た。
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