有明先生と瑞穂さん
「・・・・・・っ・・・そ、

そっか・・・・・・」



言葉はそれでも瑞穂を気遣うように優しい。



「有明が好き・・・なのか?」


少し躊躇したが、瑞穂は正直に頷いた。



「はは・・・よかった。
好きな奴もいないのに振られたんじゃやりきれねーもんな」


こんな時でも瑞穂がなるべく罪悪感を感じないようにと元気に振舞う。

もう癖になってしまった。


瑞穂に弱いところは見せない。


それを瑞穂も気づいていたんだ。



「もう、行けよ瑞穂」

「・・・でも」

「俺もうちょっとここにいたいからさ」



それでも一人置いて行けるわけがなく瑞穂は首を振った。


「頼むよ」



いつものようにニカッと笑う。


空は曇天。




「やっぱり俺、瑞穂の前じゃ泣けないからさ・・・」


「・・・・・・!」



それを聞いてここにこれ以上留まることはできない。

笑顔の中に一瞬だけ崩れかけたものを見たような気がして、それから逃げるように背を向けた。






ありがとう。そして、ごめんなさい。





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