有明先生と瑞穂さん
しばらくすると体はそっと離された。
名残惜しさを感じたが、それでもここは学校だからと瑞穂も同じように手を緩める。

しかし有明はそのまま離れることなく瑞穂の腰を引き寄せたまま、もう片手を頬にすべらせた。


――まるで自分の元にいることを実感するように。



「せ・・・」

「俺も好き」

「・・・え・・・っ」

「瑞穂さんが・・・好き」



鼻先が触れ合うほどの距離で視線を絡ませ、自分だけに届くように静かに言う。

先生の言葉が体にゆっくりと染みこむような気がした。


それが心地よくてうっとりとしていると更に顔が近づく。


「えっ、先生ここ学校・・・っ」


さすがにそれはマズイと体を突っぱねるが有明は離さない。


「・・・カーテン閉めたから大丈夫」

「そういう問題じゃっ・・・」


拒みながらも瑞穂の中では気持ちが溢れ、今にも流されてしまいそう。


瑞穂が困っているとそれを察してか、有明は『仕方ない』と笑いながらため息をつく。



「学校じゃなかったらいいの?」

「へあっ?!」


(そんなことわざわざ聞かなくったって・・・!)




有明の顔をちらりと見上げれば、




ああ――また意地悪そうな顔。
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