有明先生と瑞穂さん
「瑞穂さんは俺を振り回すのがうまいね」


それはこっちのセリフではないのかと首をかしげる。



「・・・本気で、布津君を選んだと思ったから」

「え・・・だって私ちゃんと・・・」

「布津君のところに行くなんて言ったらもうそれしかないじゃない」


「あ・・・・・・
・・・まさかそう取られるとは思ってませんでした」

「え?」


何やら話が噛み合わない。


今度は二人同時に首をかしげた。




「だ、だって・・・有明先生に告白してから布津に断りに行くって、何か保険かけてるみたいじゃないですか」

「だから俺には『後で言おうと思った』って、そういうこと?」

「はい」


話しながら有明は瑞穂から離れたと思うと、片手は繋いだままに椅子を引いて座り、当たり前のように自分の膝にお姫様のように座らせる。

内心驚いたがすごく当たり前にそんなことをするから戸惑うタイミングすら掴めないで結局そのまま体を預けた。




有明は今、瑞穂と少しでも離れたくない。
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