有明先生と瑞穂さん
布津は大きくため息をついて椅子に座る。
深江はそれでも立ち尽くしたままだった。


「もう終わったんだよ・・・。
そっとしといてくれよ・・・。
ぶっちゃけ今、他のヤツに構えるほど心の余裕ねえんだよ」


今は何を言われても傷をえぐられたような気分にしかならない。


「終わったって何よ・・・」

「お願いだからほっといてくれって。
3日間・・・それだけでいいんだ。
瑞穂にもそう言った。
3日過ぎればいつも通りに戻るし、何だって話すから」

「なんでよ!!」

「・・・・・・」



――どうして深江がそんな顔してるんだ。
ほっといてくれ。余計惨めなんだよ。



布津の中にどす黒い感情が渦巻く。

いつも瑞穂の前ならば、こんな感情押し込めてしまえてたのに


今はそれすら叶わない。

――いや、そうしたって意味がないんだ。



「何で布津君じゃ駄目なのぉ?」


俺に、聞くなよ――・・・



「・・・・・・ッ!!」



ダンッ!!




気付けば机を力いっぱい殴っていた。


深江の体がビクリと跳ねたが、そんなことはどうでもよかった。


「そんなの俺が一番聞きたいに決まってんだろ!!
何でお前にイチイチ傷えぐりながら話さなきゃなんねーんだよ!!
ほっとけっつってんだろ?!

俺じゃなくてアイツに聞けよ!





深江には関係のない話だろうが・・・!!」





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