有明先生と瑞穂さん
「は・・・?」

「布津君がよくても、結が嫌なの・・・。
布津君と瑞穂ちゃんが付き合わなきゃ嫌なのよ・・・」




「意味わかんねえ・・・」



いつもわけのわからない理由でワガママを言って、深江は本当に意味がわからない。

俺にどうしろってんだ。





散々勝手に泣きわめくと気が済んだのかスッキリした顔をしてため息をついた。


「はぁ・・・ごめん」

「ほんとだよ。泣きたいのは俺だっつの」

「あはは、そうだね」


でもなぜかこれだけ落ち込んでることが少し馬鹿馬鹿しく感じている自分に気付く。


「メシ食う暇、もうないじゃん」

「じゃあ5限目サボる?」



クラスのヤツらに怪しまれるとかいろいろ考えたけど、結局律儀に教室に弁当箱を取りに行って、深江が有馬と瑞穂に「弁当食べてないので次サボリます」と宣言して二人してのんびり遅めの昼食を取った。


(俺って結構真面目だったのかな。
こういうのもなんか新鮮でいいな)


ぼんやりとそんなことを思うことができるのは、少しだけ心に余裕ができたからか――・・・。


長年好きだった相手から振られたというのに、昨日の今日でこうも心に余裕が持てるなんて思いもしなかった。
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