有明先生と瑞穂さん
二日目――

職員室に行った時に偶然見た、有明の机に置きっぱなしの携帯のストラップが瑞穂とお揃いだと気付いた。


いつからだろう。


どうして今更こんなことに気付いてしまうんだろう。



教室でも瑞穂は俺と顔を合わせない。


信じてるんだ・・・3日たてば、俺から話し掛けてくれると――



俺の気持ちは整理がつくどころか、昨日の深江の一言で更に散らかってしまった。




俺はとうとう、ピンポイントで有明の授業をサボった。



有明の顔を見たくないから?


違う。



きっと瑞穂の気を引きたいんだ。

心配してほしいだけ。


みっともない悪あがき。




「ねえ、諦めちゃうの?
どうして・・・また自分の方を振向かせようと思わないの?」


現実をつきつけるように深江が聞いた。




もしかして俺って本当は結構前からわかってたのかな・・・


瑞穂は俺を選ぶことはないって。




「『どうでもいい』レベルの俺が敵うかよ」


その言葉に深江がはっとした。



「布津君・・・そうじゃないよ・・・」





瑞穂は俺を信じて今は距離を置いてくれている――

そのはずなのに、本当は俺のことなんかどうでもよくてそうしてるんじゃないかと思えてきた。


考えすぎだと思うのに、自分の気持ちがコントロールできない。


これってちょっと鬱ってやつなのかなぁ?


俺には無縁だと思ってたな。
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