有明先生と瑞穂さん
4日目――



顔を青くした瑞穂はかなり挙動不審な態度で職員室の前をウロついていた。



「・・・・・・瑞穂さんどうしたの?」

「はっ!!有明先生!!」


呆れた有明が声を掛けると更に不審な動きでキョロキョロとあたりを見回す。


「瑞穂さん瑞穂さん、普通に話す分には怪しくもなんともないから。
むしろ瑞穂さんの行動が・・・なんか万引き犯みたい」

「ひ、酷い!」


それでもわざわざ学校で瑞穂から有明に会いに来るなんてよっぽどのことなんだろうと、声を潜めて聞いた。


「・・・何かあったの?」


「あ、あの・・・」



不安そうな顔に有明も少しだけ焦る。





「・・・布津が学校来ないんですっ・・・!」



「・・・・・・・・・え」



――また布津か!



有明の顔にその態度がはっきりと出ていたらしく瑞穂は言葉を補った。


「だだだ、だって、今日はもう4日目だしっ・・・
風邪って担任の先生から聞いたんですけど・・・もしかしたら3日間って言いながら本当は私と顔合わせるのが嫌だから学校休んだんじゃないかと思ってそれでそれで」

「わ、わかったから落ち着いて・・・」


ひとまず瑞穂をなだめるが正直有明だって嘆きたかった。


有明は瑞穂に「少し待ってて」と声を掛けて職員室に戻り、瑞穂達の担任のところへ布津のことについて聞きに行った。



「布津君が風邪でお休みだそうですが・・・」

「ああそうですよ。今朝親御さんから電話がありまして。
どうかされましたか?」

「いいえ、彼まだ夏休みの宿題の遅れ分の期限が今日でしたので、風邪なら少し伸ばしてあげようかと」

「はははっ、甘やかすことないですよ有明先生!」
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