有明先生と瑞穂さん
有明はすぐに廊下に出てそのことを瑞穂に伝えた。


「親御さんが連絡されたそうだから、風邪は嘘ではないと思うよ」

「・・・そっ、そうかぁ~~・・・」


瑞穂はヘナヘナと壁に寄りかかった。



「・・・あの先生、もうひとつお願いがあるんですけど」

「何?」

「えーっと・・・えーっと・・・」


言いづらそうにする瑞穂に首をかしげる。

――君のお願いなら、俺にできることならなんでもするのに。






「ふっ、布津んち寄ってもいいですか?」


「駄目」




――前言撤回。

即答すると、一瞬固まった後に頭を抱えてもがき出した。

それに有明は追い討ちを掛ける。


「・・・俺そういうの嫌だって結構前に言ったことあるよね」

というかほとんどの人が普通嫌がる。

「・・・・・・っや!わ、わかってはいるんですけど・・・っ
でもっ・・・うう・・・・・・」


目を白黒させて滝汗を流す瑞穂に、少しでも自分のことも気に掛けてくれればいいのにと内心思う。





「・・・わかったよ。それじゃあひとつだけ条件付きで」


「へ・・・?条件、ですか?」



ぱっと顔を上げて喜ぶ瑞穂に有明は黒い笑みを浮かべた。
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